【こんな症例も治りますシリーズ 850】『 セカンドオピニオン診療 : ワンちゃんの慢性の咳 』も適切な診断と治療でコントロールします

↑ 上の写真は、心臓病のワンちゃんの胸部レントゲン写真です。

■ 右のレントゲン写真の真ん中に、白い丸い部分があると思いますが、これが大きくなっている心臓です。

■ その周りの黒い部分が肺ですが、心臓に比べてとても狭くなっています。

 

 

『 気管の病気だと思った咳 ― 実は“心臓病”でした 』

 

 

犬 チワワ 9歳 オス(去勢手術済み)

 

 

今回は『慢性の咳』で来院されたワンちゃんです。

 

【 以前、他院で気管の病気と言われて薬を飲んだら良くなった 】、

【 最近また咳が出てきたので、再発したのかもしれない 】との事でご来院されました。

 

 

 

◆◆ 検査所見

 

 

■■ 身体検査

 

・ 心雑音を聴取

・ 心臓の雑音の大きさは6段階中5/6(上から2番目に悪いレベル)

 

※ 心雑音の大きさだけで重症度は判断できませんが、精査が必要なレベルの所見でした。

 

 

 

■■ レントゲン検査

 

・ 心拡大を確認

・ 気管に明らかな異常所見なし

 

 

 

■■ 心エコー検査

 

・ 左心系の拡大

・ 僧帽弁の肥厚

・ 僧帽弁逆流を確認

 

 

これらの所見から、僧帽弁閉鎖不全症が強く疑われました。

 

 

 

■■ 鑑別診断(この時点で考えるべき疾患)

 

 

咳を主訴とする高齢小型犬では、

 

・ 気管虚脱

・ 慢性気管支炎

・ 僧帽弁閉鎖不全症

・ 肺炎

・ 肺腫瘍

・ 気管支内異物

 

 

などが鑑別に挙がります。

 

 

■ 飼い主様は『気管の病気の再発』と考えておられましたが、実際には心臓病が隠れているケースも少なくありません。

 

 

 

◆◆ 治療選択の落とし穴

 

 

■ 咳があると、

 

・ 気管支拡張薬

・ 鎮咳薬

・ 気管支炎に対する治療

を選択したくなります。

 

 

■ しかし、もし原因が心臓病だった場合、

 

 

・ 症状の改善が得られない

・ 心臓病の進行を見逃す

・ 心不全へ移行する可能性

があります。

 

 

■ そのため、『 咳=気管の病気 』と決めつけないことが重要です。

 

 

今回の判断

今回の症例では、

・ 高齢の小型犬

・ 大きな心雑音

・ レントゲンでの心拡大

・ 心エコーでの僧帽弁逆流

が確認されたため、咳の原因として心臓病の関与が強いと判断しました。

 

 

 

◆◆ 治療

 

・ 僧帽弁閉鎖不全症に対する内服治療を開始

 

 

■■ 経過

 

 

■ 治療開始後、

咳は速やかに改善し、その後も良好に経過

 

 

■ 飼い主様も『 ずっと気管の病気が再発したと思っていました 』と驚かれていました。

 

 

■ 今回の経過から、咳の主な原因は心臓病であった可能性が高いと考えられました。

 

 

 

■■ この症例から分かること

 

 

■ 今回のポイントは、

『 咳=呼吸器疾患とは限らない 』

ということです。

 

 

■ 臨床で重要な考え方

 

・ 症状だけで決めつけない

・ 身体検査を丁寧に行う

・ レントゲンや超音波検査で原因を確認する

・ 治療前に鑑別診断を整理する

ことが重要です。

 

 

 

◆◆ まとめ

 

 

・ 高齢小型犬の咳は心臓病が原因のことがある

・ 心雑音は重要なヒントになる

・ レントゲンだけでなく心エコー検査も有用

・ 咳の原因を特定することで適切な治療につながる

 

 

■ ワンちゃんの咳は、気管や肺だけでなく心臓から起こることもあります。

 

 

■ 『 前と同じ症状だから同じ病気だろう 』と考えず、一度しっかり検査してみることが大切です。

 

 

■ 気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。

 

 

 

 

獣医師 土屋優希哉

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